少林寺拳法とは

少林寺拳法の始まり

　少林寺拳法は１９４７年、開祖宗道臣が香川県多度津町で創始しました。敗戦で、社会のルールも経済も人の心も混乱する中、｢すべての物事は影響ある立場に立つ者の人の質による」と開祖は悟ったからです。
　平和な世の中をつくるためには、「正義感と勇気と慈悲芯の強い人間を一人でも多く育てること以外にはない」と開祖は考えました。開祖は、中国在住時に学んだ拳技を整理、再編し、創意工夫を加え一人ひとりが楽しみながら拳技を習得できるような新しい技術体系をつくり、自宅を道場とし、拳技を教えると同時に自分の人生観や世界観を説いたのです。

少林寺拳法の本質

　少林寺拳法は武技・武術であり、護身術や格闘技であると考えている人が多いと思います。確かに、そうした一面もあり、有効な護身術の一つであることは言うまでもありません。
　しかし、修行の目的は、いたずらに他人と技の優劣を競い合ったり、人に勝つことを目的とするのではなく、仲間とともに技を修練し、身体と心の両面を鍛え、互いに向上しあうことで、何事にも負けない心（精神力）と健康な肉体をつくり、不正に立ち向かう力を身に付けることです。
　そして、人々は力と愛の調和を行動原理として、自己の幸せだけでなく、半ばは他人の幸せを願い行動することを学びます。少林寺拳法の本質は、自分自身がよりどころとできる自己を確立し、平和な社会づくりに貢献できる人材となり、豊かな人生を生きる人づくりの修行法です。

少林寺拳法の６つの特徴

拳禅一如　　理屈をこねるだけの人にならず、筋肉がすべての人にもなりません。どちらかに偏ることなく修養することを目指しています。

力愛不二　　少林寺拳法を学ぶ者の行動規範です。力がなければ暴力に立ち向かえませんが、愛もなく善悪の判断もできなければ、その力も単なる暴力にすぎません。少林寺拳法では、力と愛、理知と慈悲を調和・統一させています。

守主攻従　　少林寺拳法の技法は基本的に相手の攻撃から始まります。決して、こちらから攻撃を仕掛けることはありません。あくまで暴力から身を守るためにのみ使う「破邪の拳」という考えに基づいているからです。

不殺活人　　少林寺拳法は人を殺傷するためのものではありません。強烈な痛みで相手の戦意を失わせるもので、あくまで自分を守り、人を助けるとともに人を活かすためにあるのが少林寺拳法の技です。

剛柔一体　　相手は殴ってくるか、蹴ってくるか、それともあなたの衣服をつかんで投げにくるかわかりませんよね。しかし、少林寺拳法の技は、相手のどのような攻撃に対しても上手に連絡変化して対応できる特徴があります。

組手主体　　少林寺拳法の練習は、二人一組で行うことを原則としています。攻防の間合いや実際に動いている相手に対応した技術を会得するためには一人では学べません。お互いに技をかけあって、どこがよかったか、どこが悪かったかを互いに教え合うことで、仲間と共に強くなろうという協調性を養います。